この〇〇〇はあっているのでしょうか?

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レッスンで良く訊かれる質問の一つに「この〇〇〇はあっているのでしょうか?」というものがあります。

 

例えば、この「吹き方」はあっているのか、この「口の形」はあっているのか、というような質問です。
ハーモニカにも、所謂「基本」とされているものがあり、口の開き方・形、当て方、息の入れ方などなど、それぞれに「正しい」とされているものがあります。

 

 

少し話が変わりますが、レッスンにおいて私が気を付けていることがあります。
(後で話はちゃんと繋がっていますので、暫くの間お付き合いください。)

 

それは、生徒の方々に「NO!(ダメ!)」と言わないことです。

 

例えば、「その吹き方はダメ!」「その音の出し方はダメ!」ということを言わないようにしているということです。

 

 

あくまで私個人の見解ですが「ダメな音」「ダメな吹き方」などは一つもないと思っています。

 

例えば、
「ハーモニカを深くくわえ込んでいて重たい音になっている」

「口の中や唇を狭くしてしまっていて鋭い音になっている」

 

こういったケースは「正しくない」のではなく、「その曲のその部分には別の方法がより相応しい」だけだと思っています。

ハーモニカを口に当てる深さにも正しいとされている深さがありますし、正しいとされる口の開き方や唇の形がありますが、それは絶対的に「正しい」わけではなく、あくまで便宜上、自分の中に「基準」を作るためだと考えています。

 

先程の例で言えば、「深くくわえ込んでしまった重い音」や「唇が狭くなりすぎてしまった鋭い音」も、何か他の曲のどこかの部分できっと必要な時が出てくると思います。
その吹き方や音の出し方は、決して間違っているわけではなく、その曲のその場所には別の方法がより相応しいというだけで、どんな音もどんな吹き方も等しく大切にして欲しいと思っています。

その音をいつか使うその時まで大切にしていただき、且つそれを意識的に取り出せるようになることが理想的だと思います。

 

一番最初の「この〇〇〇はあっているのでしょうか?」という質問に戻ると、「間違ってはいません。ですが、この曲のこの部分ではこちらの方がいいかもしれないですね!」というのが私の答えです。

どんな音も、どんな吹き方も使う頻度が違うだけで、等しく大切な音や吹き方です。
逆に「間違っている」と思っていたものが多ければ多いほど、演奏においての表現の方法がより増えて充実していくことにもなるかもしれません。

 

楽器の練習はスポーツと似ているかもなあ、と思うことがあります。
スポーツも楽器演奏も、自分が頭の中で思い描いた理想の動きが出来るようになるのが「練習」なのだなあと日々感じています。

「ピアニッシモの小さな音を出したかったのに、微妙にアクセントがついてしまった」など、あるあるパターンですが、自分の思い描く理想の音を追い求める作業は、やはり終わりがないのだと感じています。

終わりのない作業、且つ正解のない作業ですが、それをいつまでも追い求め、極限まで理想へ自分自身を近づけることを心がけていきたいものです。

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