「ハーモニカの寿命について」のページをMaintenance(メンテナンス)の項目に追加しました。
以前のブログで、よくいただく質問として「ハーモニカの寿命はどれくらいか」という記事を書いたのですが、アクセス数がかなりあったこともあり、多くの方が気にされていることなのだと感じました。
「ハーモニカの寿命について」のページで、『使えなくなって捨ててしまった楽器は一つもなく、現在所有しているものは全て演奏可能な状態』と書いていますが、実は一時期、壊れたままのハーモニカが一本ありました。
約20年程前、私が全く修理が出来なかった頃のお話です。
いつも使っているハーモニカが壊れてしまい、修理に出したことがありました。
当時使っていたハーモニカは、ボディが木製のタイプだったのですが、どこかから息漏れがするようになっていた上に、リードが何ヶ所も折れている状態でした。
修理から戻ってきた楽器を受け取ると、リードの交換は勿論のこと、息漏れも出来る限り少なくしようと、全力を尽くしてくださった様子が伝わってきました。
どうやらボディが変形し、亀裂が入っていたために息漏れしていたようです。
修理してくださった方は、「またリードが折れたり、息漏れしてきたり、何か不具合が出るような場合は再度修理することも可能ですが、それよりも新しい楽器を買った方が安くなります」と仰っていました。
どこかに修理をお願いする場合、『修理代よりも新しく買った方が安くなる』ということは往々にして起こりうることだと思います。
場合によっては、その時が楽器の寿命と言われることもあります。
それから暫くすると、案の定、修理していただいたハーモニカがまた壊れてしまいました。
結局、新しく同じ機種のハーモニカを買うことになったのですが、「もし、自分に修理が出来たなら、このハーモニカを助けることができたはずなのに…」と悲しい気持ちでした。
「いつの日か、自分が修理出来るようになった時、このハーモニカを演奏可能な綺麗な状態にしよう」と思いました。
と、理想だけは高いものの、そのハーモニカは本当にひどい状態で、また演奏できる状態にできるとは到底思えませんでした。
かといって、そのハーモニカを捨てることもできず、「もしかしたら、自分で直せる日がくるんじゃないか」と淡い期待を持ちつつ、そのままケースに仕舞いこんでいました。
今現在、そのハーモニカは演奏は勿論のこと、コンディションもかなり良い状態になっています。
状態が状態だっただけに、かなりの手間と時間がかかるため、ずっと手をつけられずにいたのですが、その昔「いつの日か…」と思っていたことが、現実になるのはとても嬉しいことです。
今では修理のご依頼をいただくこともあるのですが、毎回、修理や調整を一つ一つ丁寧に仕上げていくにしたがって、だんだんとハーモニカが笑顔になってくるような感じがしています。
楽器のコンディションは、演奏面においても大きく関係してきます。
より良い音色、より良い演奏を目指して、日々練習することはとても大切ですが、それと同じように、楽器のメンテナンスもこまめに行い、常にベストな状態を保つことも大切だと思っています。
新しい音源をアップしました。
ジェームス・ムーディーの作品で「ジャカランダ」です。
ジャカランダとは花の名前で、藤色の綺麗な花を咲かせます。
なかなかみかける機会は少ないですが、国内でも植えられているところがあるようです。